ミキシングという謎作業の効果を検証したい
ミキシング。
それはアレンジまで済んだ楽曲をきれいに磨いて、最終的に馴染みのある耳ざわりへと整えてゆく作業。
…で、合っているでしょうか。とにかくわたしはこいつが苦手なんですよねぇ。
ギターのボリュームが妙に大きい気がする⇒下げる。そうすると今度はピアノが目立つなぁ⇒下げる。ドラムとベースも馴染みが悪い気がする⇒下げる。合わせて他のパートも下げたら、あれ?やっぱりギターが大きいぞ、みたいな。
あくまで例えではありますが、およそこんな風な「彼方を立てれば此方が立たず」な作業の連続で、どこかで区切りをつけないと一生終わりません。作曲30分、アレンジ2日、ミキシング一週間…ってこれ一体どういうステ振りなのよ。センスがなさ過ぎて悲しいよ。
ミキシングすると何がどう変わるのかを確かめておきたかった
「やっとできた…!」と奇跡的に気持ちの整理がついたのは夜半過ぎのこと。
翌朝、意気揚々とその曲を再生してみると、前日の夜とは全く違った感じに聞こえて崩れ落ちるという。
この一年間は、自分の耳がいかにあやふやにできているのかを知る期間でもありました。再生デバイスの違いはもちろんのこと、体調、時間帯(朝なのか夜なのか)、前後に聞いていた曲の雰囲気など、内外を含めた環境変化でこうも聞こえ方が変わるのかと。人間って不思議だなぁみつを。
わたしがミキシングに対して抱いている苦手意識については何となくご理解いただけたかと思いますが、そのくせミキシングの効果についてちゃんと聞き比べたことがなかったということに最近気が付いた次第で。
ならば早速、試してみようではないか。
効果その1「ボリューム(音圧)が上がる」
先日アップした「キェルケゴールの子守歌」はお聞きいただきましたでしょうか。まだという方はせひ。
これねキェルケゴールの子守歌
曲の出来は好き好きあるとして、今回のテーマであるミキシングの出来についてはどうなんでしょうね…ってクッソ下手なんだろうな恐らく。もはやそれも自分で判定できないという体たらくなんですムニャムニャ…お布団気持ちいいむにゃぁ…。
効果検証のため、ミキシング前のサラの状態をエクスポートしておきました。
それではどうぞ。
♪ミキシング前♪
♪ミキシング後♪
うむ。
これはまず音量が全然違いますね。(出だしのバスドラ等は音も明らかに違っていますが、ミキシングの効果ではなく、音色そのものを変更したためです。)
正式には音量と「音圧」。まぁ細かいことはどうでもいいとして、とにかくこのままではボリューム的な印象が違いすぎて他の比較ができません。調節しましょう。
効果その2「高音域が目立つ」
調節しましたよ。
♪ミキシング前♪
♪ミキシング後(音量調整済み)♪
ミキシング後の音源は、その意図は無いにも関わらず、やけに高音域が目立つのがお分かりいただけるかと思います。これはなぜ?なぜなんだ。
わたしの深層心理がそうさせるのか、はたまた、アナログ風なサチュレーションが付加されるプラグインをいくつか使っているので気づかぬうちにそうなってしまったのか。
試しにそういったプラグインを全部切ってみたらどうなるのかしら。
♪そういったプラグインOFF♪
…いやぁ~??
バスに挿さっていたアナログ系コンプなども全部OFFったのでバランスもろともぶっ壊れたのはともかく、若干のハイ減少は認めたものの根本的な印象は変わっていません。ということは「わたしの深層心理がそうさせた」説が濃厚になりましたねぇ。
魂がハイを求めている…ということでは決してなく、わたしの好みとしてローを嫌い過ぎた結果、相対的にハイが出たものと思われます。いずれにしろ意図した耳ざわりではないので次回は気をつけよう。
効果その3「ストリングスのビッグ化」
細かい差異は多々あれど、特に気になった箇所はサビ。
♪サビの部分 ミキシング前♪
♪サビの部分 ミキシング後♪
なんかもう印象が違いすぎてビックリなのですが、特筆すべきはストリングスの音量でしょうか。ミキシングを経たことでだいぶ上がっていますね。
意識的にそうしたわけではないのでこれも「深層心理のせい」であることは間違いないとして、問題は、前のバージョンも悪くないじゃないかと感じてしまっていること。
ミキシング中は元の音源と比較しつつ、どう変わってきたかをチェックしながら作業を進めた方がいいのかもしれません。
効果その4「各パートの分離」
一応、わたしなりにではありますが、各パート丁寧に整えたつもりですので、その結果としてスッキリと分離して聞こえるのではないでしょうか。自信はまったくありませんが。そもそもその結果としてハイがアレになっちゃったりしてるわけでゴニョゴニョ…。
本当にミキシングって難しいですね。
結論
というわけで、ミキシングの効果というよりただの反省会になってしまった今回の結論は以下の2点です。
- 全体的にハイが出がち
- イメージがガラッと変わりすぎてしまう箇所がある
いずれも狙ってそうなったのなら申し分ないのですが、「意図していない変化」であることが大問題。対応策としてはそれぞれ、
- ローを必要以上に嫌わず出来うる限り残す
- ミキシング前の元音源を定期的にチェックする
ということですね。
うん!こうして書き出してみるとどちらも今まで行ってこなかったことなので、ぜひとも実践してみたいと思えました。うまくいくといいなぁ。
それでは。